クォーツ時計の寿命と長持ちさせる方法5選
現在、販売されている腕時計の多くを占めるクォーツ時計は、時間に正確で、価格も安く、丈夫といったメリットを持つ反面、機械式と比べると寿命が短いと言われることがあります。
では、クォーツ時計の寿命はどれくらいなのでしょうか。
クォーツ時計を長く使い続ける方法はないのでしょうか。
本記事では、クォーツ時計の寿命と長持ちさせる方法を解説します。
愛用している時計の寿命がどれくらいか知りたい方、今の時計を少しでも長く使いたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
クォーツ時計とは
腕時計を動かす内部機構であるムーブメントの1種で、腕時計は大きく、クォーツ式と機械式の2つに分かれます。
最近では、これに加えて光で充電できるソーラー式も増えてきましたが、多くがこのどちらかを採用しています。
そして、現在販売されている時計の大部分を占めているのがクォーツ時計です。
クォーツ式とは簡単に言うと、電池を使って動く時計のことで、クォーツには「水晶」という意味があります。
なぜ水晶時計と呼ぶのかといえば、クォーツ時計の中には水晶で作られた水晶振動子と呼ばれるものが入っているからです。
水晶には電気を流すと、規則的に振動する性質があり、これを利用して水晶振動子を高速で振動させ、正確なリズムを刻むことで時計の役目を果たすのがクォーツ式です。
クォーツから生まれた振動は内蔵のIC(電子)回路によって1秒ごとに1回の電気信号へと変換され、時計の針を動かすステップモーターへと送られ時を刻みます。
ステップモーターの代わりに液晶ディスプレイを搭載したものがデジタル時計で、ステップモーター式をアナログクォーツ、デジタル時計をデジタルクォーツと呼び分けることもあります。
クォーツ時計の特徴
現在、流通している時計の多くがクォーツ式なのは、機械式時計と比べて多くの優れた特徴をもっているからといえます。
以下、メリット、デメリットに分けてクォーツ式の特徴を紹介していきます。
メリット1: 精度が高い
クォーツ式のメリットとして一番に上げられるのが精度の高さです。
時計の精度を高めるには、時計の心臓部の役割を果たすテンプと呼ばれる機構の振動数を高くする必要があります。
この点、高周波で1分間に30,000回以上の振動数を誇るクォーツは機械式に比べると精確さの面で圧倒的に優れています。
機械式の場合は、一日の遅れや進みを表す「日差」が数秒から数十秒といわれています。
対して、クォーツ式は「月差」、つまりひと月でのズレが20秒とされており、その差は明らかです。
安い製品でも性能は変わらず、最近では電波受信によって時間を自動で調整してくれるタイプもあるので、さらに正確さが高まっています。
メリット2: 価格がリーズナブル
ムーブメントの複雑な機械式と比べて、大量生産に向いているため製造コストも安く、リーズナブルな価格で手に入れることができます。
さらに、電池交換を除けばメンテナンス費用もほとんどかからず、オーバーホールを行うときも機械式より安く済ませられます。
メリット3: 丈夫で壊れにくい
機械式はムーブメントが複雑なため、ちょっとした衝撃や振動などで壊れたり、動かなくなったりすることがありますが、クォーツ式の場合は、そうした心配がほとんどなく、頑丈で壊れにくいため手軽に身につけられます。
メリット4: ゼンマイを巻かなくていい
機械式時計はゼンマイを巻くことで動いているため、ゼンマイを巻かずにしばらく放っておくと動かなくなってしまいます。
しかし、クォーツ時計なら、電池があれば止まることなく動き続けるので、しばらく放置しておいても時計が停まってしまう心配がありません。
一度ゼンマイが切れると時刻を合わせる必要があるため、時計をつけない日もあるという方にはクォーツ時計のほうが向いているといえます。
デメリット1: 電池交換が必要
頑丈で正確なクォーツ時計ですが、電気の力で水晶を動かしているため、電池が切れると動かなくなってしまいます。
そのため、定期的な電池交換が必要になります。
電池交換の頻度は通常2〜3年で、それほど頻繁とはいえませんが、長期間放置しておくと止まってしまう可能性があります。
デメリット2: トルクが弱い
トルクとは、物体を回転させる力のことです。
機械式と比べてトルクが弱いため、クォーツ式では、例えば、クロノグラフのような時間表示以外の機能をもった時計が少なく、時針や分針も小さくなる傾向があります。
デメリット3: 寿命が短い
クォーツ時計はムーブメントに使用されているIC回路が壊れると、使用不能になります。
機械式のように修理して長く使うということは少なく、壊れると買い替えられることが前提なることが多いです。
クォーツ時計の寿命
それでは、クォーツ時計のデメリットの1つにも上げられる寿命についてもう少し詳しくみていきましょう。
クォーツ時計の場合、内部のムーブメントに使用されているIC回路の寿命がイコール時計の寿命になることがほとんどです。
IC回路の寿命は約10年といわれており、これだけ聞くと十分に長い気もしますが、機械式はきちんとメンテナンスをすれば、20年から30年、長いものだと50年も使えるといわれ、これと比べればクォーツ式の寿命はかなり短いです。
クォーツ時計が安価なのは、寿命の短さも関係しているといえるでしょう。
さらに、壊れたときの費用が高いため、修理ではなく買い替えになってしまうことも寿命の短さに関係しています。
クォーツ式は通常、故障するとムーブメントごとの交換になるのですが、交換だけでも数万円の費用がかかります。
さらに、クォーツ時計はムーブメントのストック期間が短く、交換もできないケースも多く、結果、クォーツ時計は壊れると、新しいものを購入するのがほとんどです。
修理して使うということができないため、ムーブメントの寿命が時計の寿命になってしまい、結果として時計の寿命を短くしています。
クォーツ時計は修理できない場合がある
クォーツ時計が修理できない理由には、修理部品の製造がすでに終了している、時計に純正部品以外のものが使われているケースが挙げられます。
多くのメーカーでは、製造終了後から修理部品の保有期間が定められており、時計の壊れている部分の製造がすでに終了していると修理対応ができません。
また、過去に純正品以外の部品を使い修理をすると、修理自体を断られてしまう可能性があります。
そのため、時計修理店に修理依頼する際は、純正部品を使い修理ができるかを事前に確認するとよいでしょう。
部品がまだ製造されていても、純正部品の仕入れルートが十分に確保できず、対応できない時計修理店もあります。
その他、電子回路の故障や寿命がきてしまった時計、ブランドコピー商品の時計も修理を断られる対象です。
中古品として購入した時計や誰かにプレゼントされたものが本物かどうかわからず不安があるときは、事前に確認をとりましょう。
【関連記事】
腕時計の修理を断られる理由とは?対処法とともに解説
メーカーごとの部品保有期間
メーカーごとの部品保有期間は次のとおりです。
・シチズン:7〜10年
・グランドセイコー:10年
・ブライトリング:10年
・ロレックス:25年
・オーデマピゲ:永久保証
・ジャガールクルト:永久保証
・IWC:永久保証
部品保有期間からある程度の時間が経過すると、修理するパーツは処分されるため、修理できなくなってしまいます。
クォーツ時計を長持ちさせる方法
機械式と比べると、寿命はかなり短くなりますが、やはり愛着のある時計なら少しでも長く使いたいものです。
最後にクォーツ時計の寿命を長持ちさせる方法を紹介します。
毎日のお手入れを忘れない
クォーツ式に限らず、腕時計を長持ちさせるコツは毎日のお手入れにあります。
一日着けていた時計には、汗や皮脂、汚れなどがついており、そのまましまうとカビやサビ、劣化などの原因になります。
柔らかい布で表面を清掃したり、落ちにくい汚れは水で濡らしてよく絞った布で拭き取ったり、ちょっとした日々のお手入れが時計の寿命を延ばします。
電池切れのまま放置しない
電池切れしたクォーツ時計を放置していると、電池が液漏れを起こし、ムーブメントやIC回路にまでダメージを与える可能性があります。
電池が切れたらすぐに交換を行い、長期間使用しないときは電池を抜いておくようにしましょう。
【関連記事】
電池切れの腕時計をそのまま放置するとどうなる?
磁気を発する機器の近くに置かない
腕時計をテレビやパソコン、スピーカーなど磁気を発する機器のそばに置いておくと、磁気帯びと呼ばれる現象が起き、ムーブメントが正常に動作しなくなります。
一度磁気を帯びた時計は、専門業者などで磁気抜きと呼ばれる作業を行わない限り、正常に戻ることはありません。
最近では、スマートフォンやタブレットなど磁気を発する電子機器が身近に多いため、普段から意識してそれらのものには近づけないようにしましょう。
水や湿気の多い場所を避けて保管する
水のかかるところや湿気の多い場所で時計を保管していると、水や湿気が内部にまで侵入し、部品がサビたり、カビが生えたりして故障の原因になります。
防水機能のついた時計もありますが、防水パッキンは温度によって劣化する場合もあるため、時計は水気を避けて保管するようにしてください。
定期的にオーバーホールを実施する
オーバーホールとは、時計を分解して点検・清掃などを行うメンテナンスです。
異常を発見したり、劣化したりした部品があれば交換もできるため、定期的にオーバーホールを実施することで時計の寿命を延ばすことができます。
腕時計電池の寿命と寿命を延ばす方法
ソーラー時計の寿命と長持ちさせる方法
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クォーツ時計の修理は熟練の技術者にお任せください
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことでクォーツ時計の寿命を長持ちさせる方法がご理解いただけたと思います。
寿命が短いものの、きちんとメンテナンスを行えば寿命を延ばすことも可能です。
クォーツ時計のメンテナンスや修理には専門的な知識と技術を要するため、必要なときは専門の修理業者に任せるようにしてください。
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